2023年4月6日15時56分ごろ、陸上自衛隊の第8飛行隊所属の「UH60JA」が消息を絶ちました。ただの墜落事故にしては不可解な点が多いようです。
陸上自衛隊ヘリコプター宮古島で消息を絶つ
陸上自衛隊ヘリコプター「UH60JA」は、上空から地形を確認する偵察任務の訓練中でした。宮古島周辺区域を飛行中のところ、宮古島北北西洋上で消息を絶ちました。
消えたブラックホーク

「UH60JA」は全天候型の救難ヘリコプターで、偵察・災害現場での救助・緊急患者の搬送などで活躍しています。「ブラックホーク」とも呼ばれているそうです。
【装備品性能詳細】
配備:1997年
価格:約38億円
全長:19.76m(胴15.64m)
全幅:16.36m(増加燃料タンク装備 幅5.49m)
全高:5.13m
ローター径:16.36m(4枚)
全備重量:9,970kg
最高速度:295km
航続距離:約470km(増槽搭載時:約1,300km)
上昇限度:約4000m
搭載機関:T700-IHI-401C/ターボシャフトエンジン×2
出力:1662SHP×2
乗員:14名(操縦2名+人員12名)
武装:固定武装なし※銃座で重機関搭載可
開発:シコルスキー・エアクラフト社
製造:機体・三菱重工業(ライセンス生産)/エンジン・IHI(ライセンス生産)
※陸自調査団(https://rikuzi-chousadan.com/soubihin/koukuuki/uh-60ja.html)
3月に行った、飛行時間50時間ごとに行う「特別点検」の際には、飛行点検も含め問題はなかったとのことです。
また、通常機体に強い衝撃や海水が浸かったときには「救難信号」が自動で発信されるはずが、今回受信されなかったとのこと。
レーダーから消息絶つ2分前

「UH60JA」は4月6日15時46分、宮古島を離陸し周辺を飛行した後、17時5分に戻ってくる予定でした。異変が起きたのは、10分後の15時56分だったとのこと。上記レーダーロストの付近で消息を絶ちました。
レーダーから消える2分前に、下地島空港の管制と無線で複数回交信を行っていたそうです。
NHK
漁師さんも感じた異変

伊良部島の漁師さんは異変を感じたそうです。
「無線の音がいつもと違う、ノイズが入っておかしいなと、ちょっと高めのギュイーンという音。」
その後その音は、5~10秒くらいで切れたといいます。
消息不明の搭乗員たち
防衛省、森下泰臣陸上幕寮長によると
引用元:ANN NEWS
「これまで発見された機材らしきものの状況から、総合的に判断し航空事故と概定しました。
搭乗員は10名、操縦士2名、整備士2名、搭乗員6名です。搭乗員には第8師団長陸将、坂本雄一が搭乗していました。」

乗っていたのは、九州南部の防衛任務や災害派遣任務を担当する第8師団のトップ坂本雄一師団長、パイロット2人、整備員2人を含む10名です。
坂本雄一陸将は、数千人を束ねる師団長に先週3月30日に着任したばかりだったそうです。
名前:坂本雄一(さかもとゆういち)
階級:陸将 ※陸上自衛隊で上から2番目の階級
生年月日:昭和42年9月1日
出身地:北海道
学歴:防衛大学校(35期生)
森下泰臣陸上幕寮長は、「過去に師団長がこのような事故に巻き込まれたことはあるのか?」という記者の質問に対し、「現在知るところではない。」と答えられています。
報道によると、宮古島駐屯地トップである伊與田雅一司令も乗っていたとのことです。
引用元:陸上自衛隊第15旅団(https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/15b/15b/page-21miyaco.html)
名前:伊與田雅一(いおたまさかず)
階級:1等陸佐 ※陸上自衛隊の上から4番目の階級
生年月日:昭和45年生まれ
学歴:防衛大学校(第36期)
【自衛官の階級】※防衛省・自衛隊ホームページより

陸自ヘリ機体残骸見つかるも…
これまでに機体の一部が12点発見されています。しかし、搭乗員はいまだ見つかっていません。

この発見された12点の機体の一部から考えられること。元統合幕僚長の河野克俊氏は「救命ボート」が未使用のまま見つかったことに注目されました。
もしも海上に不時着したのであれば救命ボートを出して乗り移るはずですが、それすらできない突発的な事案だったのではないかとのこと。

また、発見された機体の内部構造が出るほどちぎれている点。通常、不時着などではこんな状態にはならないとのこと。相当強い衝撃で海面に激突したことは間違いないそうですが、救難信号がないのが謎です。
事故前日に中国艦艇3隻
事故前日の4月5日、沖縄の海域で空母を含む中国艦艇3隻が確認されています。
事件との関連性があるのか?国会で浜田防衛相は「私に報告が入っているところでは、そういったことは今のところ入っていません。今ここで確たるものを話すことは差し控えておきたいと思います。」とのこと。
日本と中国の島問題
日本と中国には、東シナ海の尖閣諸島(せんかくしょとう)をめぐっての紛争が中心となっている領海問題があります。※中国名では「釣魚群島」あるいは「釣魚島」と呼ばれています。
以下、赤丸の位置になります。左に位置する大きな大陸が中国です。

日本は、沖縄県に区分する無人島であり、開発権も含め日本が領有していると主張しています。中国は、尖閣諸島周辺での石油埋蔵の可能性が指摘された後の1970年代以降から、「尖閣諸島は中国の領土だ!」と根拠のない主張をし始めました。
この領土問題に対して、日本と中国は何度も対立しています。中国は、定期的に尖閣諸島周辺海域に出没する日本の海上保安庁の巡視船に対し、抗議や反発を示し、日本は、中国の漁船や海洋調査船が日本の暗号化的経済水域(EEZ)内に侵入したりすることを警戒しています。
しかしながら、日本と中国は経済面で深い繋がりがあり、輸出入を行っているため、日本にとって中国は主要な貿易国の1つです。多くの企業が中国と繋がりを持っており、中国に反発することは日本とってデメリットでしかありません。またアメリカとの関係にも影響を及ぼす可能性があります。

高出力によるマイクロ波攻撃されたんじゃないの?
近くに中国の艦船いたし。
ドローンを簡単にバラバラにできる
日本が南西諸島の防衛力を強化する中で起こった今回の事故ですが、中国の脅威が高まる今、南西諸島は中国の海軍や艦艇の行動や動静をつかむ上で重要なポジションにいます。そのためか、SNS上では「ミサイルか?ドローンでの攻撃か?」などと中国からの攻撃を心配する声が多々ありました。
しかし、もしも中国が陸上自衛隊のヘリを襲撃したとしても、反発してもメリットのない日本は公表しないのではないでしょうか。
【追記】墜落原因はダウンバースト!?
4月10日「羽鳥慎一モーニングショー」にて、石原良純さんが墜落原因はダウンバーストではないか?とのこと。
石原良純さん:天候は良くないからね。後ろの雲を見ても、青空じゃないし、寒冷前線が通ったりしたときもあるし、寒気が入って春は気流が乱れる。あの雲が発達してダウンバーストみたいに、ドンと落とされることもあるわけです。ぼくはおそらく気象現象的な事じゃないかと…。
防衛省の発表では当時の天候は問題がなかったとされていましたが、寒気が入って春は気候が乱れやすいと、ダウンバーストの可能性を上げられていました。

事故発生3分前の写真から、たしかに雲行きが怪しく、黒く分厚い雲があります。このことから、急激な天候の変化が起こる可能性があったと言えそうです。
こちらの写真提供とANN取材に答えた沖縄基地の元米兵の方は次のように証言しています。
事故の原因については分からない。
ただ私が言えるのは、あの日は雨が降ったり止んだりしていて、強風や突風もありました。
マイクロバーストによる緊急着水が起きたのか。思いつくのはそれくらいです。
積雲や積乱雲から爆発的に吹き降ろす気流およびこれが地表に衝突して吹き出す破壊的な気流をダウンバーストといいます。 ダウンバーストはその水平的な広がりの大きさにより2つに分類することがあり、広がりが4km以上をマクロバースト、4km以内をマイクロバーストと呼んでいます。
(引用元:福岡管区気象台より)
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